祝賀メッセージ
高等専門学校制度創設60周年に寄せて
文部科学大臣
永岡 桂子氏
高等専門学校制度創設 60 周年を心よりお祝い申し上げます。高等専門学校制度は、我が国の高度経済成長を背景とした産業界や社会の各方面の強い期待と要請を受け、高度な専門知識を有する実践的な技術者の養成を目的として昭和 36 年に創設されました。そしてその後、長きにわたり一貫して我が国の産業界を牽引する人材を輩出し、地域社会の拠点としても重要な役割を果たすことにより、国内産学官の各方面から高い評価を得てこられました。また国内だけでなく海外からも、我が国独自の特色ある高専教育制度と実績に対する注目が集まり、近年では日本の「高専」から世界の「KOSEN」へとその存在感を高めつつあります。これは、教職員の皆様をはじめとする高等専門学校関係者のご尽力の賜物であり、深く敬意を表します。
今日、社会を取り巻く環境や産業構造は大きく変化しています。そうした中で、高等専門学校は、質の高い実践的な専門教育を実施し、それらの学習成果の達成状況を確認することによって、その質を保証しています。また、多様なニーズに対応できるよう、講義に加えて実験・実習・実技、さらに、ロボットコンテストをはじめとする各種コンテストなどによって、教育・研究の充実に取り組み、変貌する学術・産業分野や新しい時代の様々な課題の解決に向け果敢に挑戦されています。
また、グローバルに活躍できる技術者育成のため、海外の企業等でのインターンシップ等の体験的な学習による国際感覚の育成や、学生寮等で日本人学生と留学生が混在して集団生活を行い、異文化理解を育む豊かな人間性の涵養に取り組んでいます。全国の高等専門学校において、このように教育の高度化・国際化に向けた取組が積極的に展開されていることは大変喜ばしいことです。
全国の高等専門学校関係者がご尽力される中、政府は 2022 年を「スタートアップ創出元年」と位置づけており、日本の経済成長を促し、社会的な課題にアプローチし解決するためのスタートアップ人材の育成が不可欠と考えており、優れた技術力と柔軟なアイデアを有する若い皆さんの活躍に期待しています。高専生は「高い技術力」、「社会貢献のモチベーション」、「自由な発想力」を生かして在学中に起業する学生もでてきており、社会が高等専門学校に寄せる期待は一層高まっています。
文部科学省としては、我が国に必要とされる人材育成のため、高等専門学校への支援に積極的に努めてまいりたいと考えています。皆様には今後とも高等専門学校への一層のご理解とご協力をお願いいたします。最後に、高等専門学校制度創設 60 周年という記念すべき節目を迎え、高等専門学校が更なる発展を遂げられることを祈念し、お祝いの言葉といたします。