卒業生インタビュー
夢をつかむためにプロセスを大事にする
一般社団法人ロコ・ソラーレ 北京五輪女子カーリング銀メダリスト
鈴木 夕湖氏
旭川工業高等専門学校 物質化学工学科 2012 年度卒
- 現在のお仕事について教えてください。
- 一般社団法人ロコ・ソラーレ及び北見石油販売(株)に所属しています。会社にはカーリング活動を応援していただいていますので、ほぼ競技中心の生活となっています。
- カーリングとの出合いはいつ頃ですか。
- 小学校 2 年生の頃です。地元の北見市常呂町でカーリングの普及に尽力されていた小栗祐治さんに誘っていただき始めました。小栗さんは、「ホッグライン(ハウスの手前にあるライン)まで滑れるようになったら、ジュースを飲みに連れて行ってあげるよ」という具合に、子供に対する目標設定が上手で、私はそのご褒美がうれしくて練習を続けていたようなものでした。中学校ではバスケット部でしたので、部活後や週末を利用して、カーリングの練習や試合をこなしていました。カーリングを始めて 20 年以上が経ちますが、自分にまだ伸びしろがあり、上達しているという実感があるところが楽しく、それが長く競技を続けてこられた理由だと感じています。
- 高専時代の思い出やエピソードはありますか。
- 兄も高専生でしたので、高専の存在は知っていました。中学校時代、私は理科の実験がとても好きだったことから、先生が高専への進学を勧めて下さいました。入学後は常呂町を離れて寮生活をすることになったので、週末はカーリングの練習のために旭川と北見を往復する生活となりました。高専では沢山の友人ができ、楽しく遊んだ記憶があります。もともと菌に興味があったので、卒業研究はカビに関する研究に取組みました。ロコ・ソラーレには高専在学中に加入しましたが、学業を続けたいという思いもあり、競技と学業の両立ができる地元の北見工業大学に進学しました。
- 平昌五輪で銅メダルを、北京五輪では銀メダルを獲得されました。
- 自分がオリンピックに出場するなど全く想像もしていませんでしたが、藤澤(五月)選手が加入した2015-16 年のシーズンで世界選手権に出場し、銀メダルを獲得したころから世界を意識するようになりました。2018 年の平昌五輪では銅メダルを獲得できたのですが、初めての五輪という特別な舞台であったこともあり、あまりの緊張で当時のことがほとんど記憶に残っていません。北京五輪ではその経験から、カーリングばかりに意識を向けず、リラックスして楽しむことを意識し、マスコットキャラクターのぬいぐるみを買ったり、他競技の試合を応援するなど気持ちをうまく切り替えるような工夫をしました。
- 今後の夢を教えてください。
- 北京五輪では決勝戦で負けたのでとても悔しく、世界一になりたいという想いはさらに強くなりました。ただ、ロコ・ソラーレは単に目標を達成することよりも、そこに至るまでのプロセスを大事にしてきたチームですので、これまでと同じように一歩一歩登っていき、その結果、世界一に到達できればと思っています。
- 最後に高専生へのメッセージを。
- 高専は勉強も難しく、やることも多いので、大変な思いをしている方も多いと思います。たくさんの失敗や、つらいことがあるでしょうが、そのような経験があるからこそ、次に向けてどうすればいいのかを考え、より強くなれるのだと思いますし、弱い人へ寄り添ってあげられる人になれるのではないかと思います。高専時代の友人たちは専門を生かした道に進みましたが、私のように高専と関係のない道に進んでもよいと思います。自分がやりたいことが何なのかをしっかりと考え、今できることを頑張り、失敗を恐れずにチャレンジして下さい。
鈴木 夕湖
すずき ゆうみ旭川高専卒業後、北見工業大学編入。小学2年よりカーリングを始め、2010 年にロコ・ソラーレ参加。2018 年平昌五輪 銅メダリスト。2022 年北京五輪 銀メダリスト。