ご挨拶

エンジニアリーダーとなるための人間力を育むために

一般社団法人 全国高等専門学校連合会 会長

後藤 景子

高等専門学校(高専)は、戦後の高度経済成長期に、地域産業を支える実践的な技術者養成機関として設立されました。令和 4 年度に創設 60 周年を迎え、人間で言えば還暦にあたります。高専は 15 歳からの早期エンジニア養成を行う高等教育機関であり、卒業生の総数は工学系人材の約 10%を占め、日本の産業の発展に大きな貢献をしてきました。平成 3 年には本科 5 年を修了した学生を受け入れる 2 年間の専攻科が設置され、学生は学士の学位が取得できるようになりました。近年のグローバル化やデジタル化を背景に、異分野の技術が融合複合化し、多様な技術者が立場や価値観の違いを超えて同じ目標に向かって協働するダイバーシティ・インクルージョンが、付加価値の高いもの・ことづくりに繋がります。体験型学習に重点を置いた高専教育の成果として、社会実装力に優れた高専卒業生が巣立っていますが、イノベーティブなエンジニアとして活躍するためには、豊かな人間性やコミュニケーション力が不可欠です。

全国高等専門学校連合会は、その前身である社団法人全国高等専門学校体育協会(専体協)と任意団体の高等専門学校連合会を統合し、一般社団法人として平成 24 年 4 月 1 日に発足しました。国公私立 57 高専の連合組織で、課外活動などを中心として学生たちに活躍の場を提供しております。体育大会 14 競技、並びにコンテスト系 4 大会(ロボコン、プロコン、デザインおよび英語プレコン)が主催行事として毎年開催されております。この他、Honda エコマイレッジチャレンジ、ディープラーニングコンテスト(DCON)、高専防災減災コンテストなど、現在 12 の後援事業があります。

また、2019 年に高専連合会ホームページをリニューアルしました。各大会の案内や報告など連合会の活動に加え、高専時代の課外活動での経験がエンジニアとしての活躍にどう生かされているかを卒業生にご寄稿していただいた「高専卒業生からのメッセージ」を掲載、発信しております(https://www.kosen-all.or.jp/)。是非ともご覧ください。

高専連合会の主たる目的は高専生の各種大会を実施するための連絡調整を中心とした取りまとめです。一方で、高専教育の評価が高まる中、国公私立高専の唯一の連合組織である連合会は、他機関との連携や共同事業の窓口・受け皿としての役割が益々大きくなっていく状況です。しかしながら、連合会は小さな組織で十分な対応は難しく、各高専、国立高専機構、全国公立高専協会、および日本私立高専協会との連携協力が不可欠です。

今後とも、高専での主体的な活動を通して、日本の産業界を担う多くのエンジニアリーダーが育っていきますよう、全てのステークホルダーの皆様方のご協力・ご支援をお願い致します。